瀬沼 俊隆
Senuma Toshitaka




山あいの川べりを歩く機会があった。
ちょうど春から夏へ移り変わるころで、
足元の川底には、小さな生き物がたくさん見えた。
しゃがんで見ると、すばしこく動く地味な小魚や透明なえび、
虫だかなんだかよくわからないじっとしているものもいる。
川の底にはコケが生えていたり、ごつごつした岩が露出していたり
粉のような泥だったりいろいろだ。

何気ない風景の見え方に、自分が映っているように感じることがある。
眼に映ったものを記録して切り出して、床に置いたり壁にかけたりすると、
中と外の関係がにじみ出してくることがある。
さらに、映像を支持体を含めて自立させ、対象として客観的に扱うことで、
測定誤差としての甘えや、不明瞭な共感を断ち切ることができるかもしれない。
観測装置の構造部分を露出させることで、直接には測れないものが
ボーッと形を現してくるように思う。絶対にのぞけないブラックホールの
内部を、飛び出してくる粒子や波を観測し、仮説を立ててみるように。


プロフィール

東京都生まれ

1999 Gアートギャラリー個展
2000 Gアートギャラリー個展
2001 Gアートギャラリー個展
2002 ギャラリー二葉個展/ トキ・アートスペース個展
2003 トキ・アートスペース個展
2004 トキ・アートスペース個展
2005 トキ・アートスペース個展

    「四月と十月」同人
      ヒカリクラブ所属

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